2年間、レバレッジ特許翻訳講座の受講生として、走り続けてきました。
翻訳という仕事の難しさをより実感するようになり、また現状としては自分の理想とは違う部分もあり、ある部分だけ見れば悔しい部分もありますが、一方で、これ以上は無理という自己ベストで着地できました。
ここまでのレベルで全力投入したのは、できたのは、やはり「レバレッジ特許翻訳講座」だったからです。それは断言できます。
本当にお世話になりました。ありがとうございました。2年前の選択は正しかったと、あのときの自分を褒めてやりたいです。
一方で、全力で走ってきたからこそ、できることはすべてやったからこそ、見えたことがあります。
今日はこの部分を、客観的事実としてしっかりレビューしたいと思います。
特に、講座では少数派である「中国語」の立場として、私が感じたことを正直に書きたいと思います。
目次
レバレッジ特許翻訳講座で得られたもの
理系の知識 →◎
これは、一人では絶対に無理でした。一番しんどかった部分ではありますが、特許翻訳者になるためには絶対に必要な力だと、実際に仕事を始めてから痛感しています。今になってその意味がよくわかります。
繰り返しますが、一番しんどかったです。途中でおもしろさを感じるようになります。興味も広がります。けれども、本当にしんどいです。よくやったと、よく耐えたと自分をほめてやりたいですが、正直、もう二度としたくありません(笑)
当然のこととしてこれからも勉強は必要です。ですが、ある程度「A、B、C」が通じるレベルで分からいないことを調査するのと、「電子殻って何?」をゼロから理解する(自分に理解させる)のって、本当に…… レベルが全然違います。
講座では、有機化学・無機化学・物理を学習します。
英語と違って比較的広い分野の案件がふってくる中国語では、「化学だけ」「物理だけ」ではなく、幅広く学んだ知識が本当に力になってくれます。
自分が参入したい翻訳分野が出版だったり、字幕だったりする人にはそれほど必要ないと思いますが、特許翻訳がしたいと思うならば、言語に関係なく理系の知識は必要です。
まずはこの根幹部分を構築する必要があり、レバレッジ特許翻訳講座に関して言えばこの部分は本当に手厚くフォローされています。そして、実際に仕事で使える知識がしっかりと身につきます。
原子と分子の違いすら知らなかった私が今、電子回路を含めた半導体、装置、高分子素材などなど幅広い案件に対応することができています。
これは私自身が一番、驚いている部分です。
もちろん、もっともっと、もっともっともっと勉強しないといけないと日々痛感しています。あれだけやっても、「ヒントをみつけるための小さなフックを構築したレベル」と感じているのが事実です。
あとは自分で。これからも頑張らねば。
Tradosの習得 →○
今では当たり前のように使っているので、ふと忘れそうになりますが…
正直、CATツールなしで翻訳業を続けていくのは無理だと思います。翻訳会社やクライアントからの依頼がないとしても、私はTradosで作業しています。
そのたびに、「Tradosがないと3倍の時間がかかっていたな」と実感します。
講座ではTradosの操作方法をマスターするコンテンツもありますし、実際の使用例を画面で見ることができるので、とても助かります。
一方で、正直に書くと、Tradosのバージョンも少し古いものになり、現在の仕様とは大きく異なります。 なので、レバレッジ講座単体としては、ここは正直に◎ではなく○にしました。 使用イメージを確認でき、実際の手順(活用方法)をマスターするのには問題ないですが、このようなツール系はやはり最新のもので学習するとより大きな効果が得られると思います。
なので、講座ではKoKoDoKiさんの翻訳支援ツールマスター講座 と連動されているのだと思います。なので問題ないということになりますが、
私が受講したときはKoKoDoKiさんとはまだ連動されていない時代で、SDLのウェビナーでコツコツ学びました。 KoKoDoKiさんの講座があったのはもちろん知っていたのですが、とにかく先に自分でいじりたかった私。
自分で手を動かして学んだのでしっかり身につき、私の性格から結果的にこれでよかったなと思っています。
今から受講される方は、KoKoDoKiさんの講座で効率よく学ばれるとよいと思います。
どのような場面で、どのような作業工程で翻訳作業に取り入れていくかを学びたければ、レバレッジ講座だけでも十分です。
時間管理・生活習慣・危機感 →◎
講座開始時にまずすること。それは生活をガラッと変えることです。
これ、なかなかできることではありません。
でも、この講座ではできるようになるのです。ブログを接点にしたフォローや、スカイプ相談など、とにかく危機感であふれかえります。自分がいかに何もないかということを、どれだけ本気にならないといけないのかということを、現実を通してしっかりと実感させられます。(もちろん、悪い意味ではないですよ)
はっきり言ってスパルタですが、それでよいというか、そこがよいと思います。
特に私のようにメンタルよわよわ、かつ頭カチカチの人間は、脳みそを耕すことがまずは必要でした。メンタル面の変化含め、ここは講座の不思議な力だと思います。
他の受講生の頑張りも支えになりますので、積極的にコミュニケーションをとって学習していくことをお勧めします。
訳出のコツなど →△
これは、「中国語翻訳」という観点で見た場合です。
レバレッジ特許翻訳講座では幅広いコンテンツが準備されています。英語翻訳のコンテンツは非常に充実しています。訳出に関する解説も豊富です。
訳語に関するものはすべて英語が対象になります。なぜなら、レバレッジ講座は(言語としては)英語翻訳講座だからです。
ただ、これは講座受講前からわかっていたことなので、何の不満もありません。
私個人のやり方としては、英語に特化した学習シリーズは飛ばしました。その分、中国語翻訳に関する書籍を自分で探してきて、そちらの学習を自分で進めました。
すべて丸っと飛ばしたというよりは、たまに視聴して、訳出手法に関するものや基本的な考え方の部分はノートに書き留めたりしていました。ただ、優先順位としては中国語特許翻訳の自己学習を前にもってきていました。
どの言語でも結局は自分で試行錯誤していかないと、そもそもフリーランスの翻訳者としてはスタートにも立てないと思います。
ただ、翻訳を仕事にしたい場合、やはり「翻訳」の学習は絶対に必要です。言語と向き合い、良質な役を見て、同言語のプロの解説を聞き、自分の中に取り入れていく。
この部分は、中国語が言語の場合に限って言えば、レバレッジ特許翻訳講座以外の場所で試行錯誤する必要があります。
ただ、自分で探して自分でやればよい話です。すべてをカバーした講座はないと思っています。中国語を選んでいる時点で、それは気付いています。
逆に言語が英語の方なら、この部分もしっかりカバーされているので、◎となると思います。
ブログの活用 →◎
これも今では当たり前になりすぎて、特別なことだとは思わないようになってしまっていますが……
講座開始時は本当に胃が痛かったです。
ブログなんで。ブ、ブ、ブログなんて……
でも、これもできるようになります。というか、レバレッジ講座関係なしにして、フリーランスでやっていくには絶対に必要なツールだと思います。
その一歩を踏み出させてくれたのは、本当に本当に感謝しています。これは、「とりあえずやってみてください!」と声を大にしてお伝えしたいです。
受講生がラッキーなのは、ブログが無駄にならないということです。
ブログなんて個人で開設した場合、そのページの存在すら気付かれないことが普通です。しかし、受講生はアップした内容をしっかりとひろってもらえますし、それに対する「ヒント」や「答え」も届けてもらえます。
これはやる気アップにもつながります。年単位で学習する必要があるとき、モチベーション維持がひとつの課題になりますが、その点でもブログは本当によい仕事をしてくれます。自分の気持ちを整理したり、メンタル面でも大いに役立ってくれました。
もちろん、学習の過程で理解したことをまとめれば、それがそのまま資産になります。
このあたりは、他の(普通の?)翻訳講座ではカバーしていない部分であり、要望すらされないと思います。
私はその流れで(調子に乗って)YouTubeも始めましたが、とてもよいきっかけをいただいたと思いっています。講座をやっていなければ絶対に始めていませんでした。
受講生の存在 →◎
今年はコロナで各種展示会がすべて中止になってしまったので、受講生と直接交流できる場はありませんでしたが、過去にお会いしたことのある方とは今でも情報交換したり、アドバイスをいただいたりしています。
厳しい道を進む中、受講生の存在は本当に支えになりました。今でもそうです。
このような横のつながりもレバレッジ講座ならではだと思います。受講生の背景もさまざまなので、翻訳以外のことにチャレンジされている方もたくさんいらっしゃいますので、刺激にもなります。
この点もまたレバレッジ講座ならではですね。
ただ、自分にも改めて言い聞かせですが、あまり比べないようにするのがよいと思います。なかなか難しいと思いますが……
中国語翻訳者を目指してきた者として、いま感じること
レバレッジ特許翻訳講座(仕組み・コンテンツなど)を通して得られるものは上に書いた通りです。十分すぎる内容ということは伝わったと思います。
これとは別に、中国語翻訳者になるべく走ってきた2年間を振り返り、思うところがあるので、正直に書いてみたいと思います。
まずは結論から。
レバレッジ特許翻訳講座では、英語特許翻訳者の場合、2年という期間で卒業を迎え、その時点で年収300万円、400万円に達する方がいらっしゃいます。これは事実です。
中国語特許翻訳者の場合、私個人の感想としては、「非常に難しい」これが答えです。
受講生として全力で走ってきた2年間、さまざまな方を見てきました。その中で感じたこと。ご本人が死ぬほど努力されているというのは大前提としてお話させていただきます。
講座受講生それぞれが想像を絶するほど汗をかき、それぞれに合わせた試行錯誤を繰り返していることは言うまでもありませんが、一方でレバレッジ特許翻訳講座にはある種の「成功の型」のようなものがあると感じています。
講座におけるある種の実績であり、ノウハウでもあるので、この講座の「力」でもあると思います。本当に素晴らしいことですし、講座の魅力でもあると思います。
ある分野にしぼって、想像を絶する量(もちろん質も)を勉強して、最強ミサイルをつくりあげて、ここぞというところを狙って、満を持して特大ミサイルを打ち込む。
これで一気に立ち上げる方法。もちろん、そこにいくまで簡単ではないですが、それでも「見本」となるようなある種の型になっていると感じています。
しかし、中国語に関して言うと、この手法をそのまま使うのは非常に難しいと感じました。私なりに試行錯誤して、実際に色々動いて、トライアルも攻めて、仕事をいただけるようになって、実践の中で感じたことです。
それが良いとか悪いとかという話ではなく、またネガティブな話でもなく、中国語翻訳の市場構成(の特性)上、そういうものだというのがよくわかりました。
英語とは、市場構成も異なりますし、また翻訳会社の体制として見ても、まったく異なります。
例えば、トライアルに関して。
英語の場合、受験前から分野を選べることが多いですが、中国語の場合はそもそも分野自体が設けられておらず(「中国語翻訳全般」でくくられている)、想像もしないようなトライアル課題が送られてくることは日常茶飯事です。
特許翻訳を年単位で学習して、特許翻訳で実力を高め、特許翻訳が得意分野ですとアピールしても、です。
ちなみに今までトライアルはかなりの数を受けましたが、特許明細書が課題だったのは3社だけ。あとは、特許以外の技術文書、ニュース、政治的な発表文書、法規、リリース文書、ビジネスメール、パワーポイント資料、トランスクリエーション、観光関連など、本当に幅広いです。
そしてもうひとつ。
合格したトライアルで翻訳した分野と同じ分野の案件がくることは、ほぼありません。
何が言いたいかというと、要は、「自分で分野を決めて、力をそこに集中してミサイルをつくり、満を持して打ち込む。そしてその分野で継続して案件を積み重ねていく」ということがそもそも成り立たない。難しい。
※今、私はなんとか色々やりくりをして、特許関連のものがふってくるように動いています。でもそれは、ある種の「裏技」を駆使して、年単位でアプローチして、なんとかかんとかそうできただけの話です。また、特許分野が続いているのは事実ですが、その中でもかなり幅広い案件がふってきます。「電子分野だけ」とか「通信分野という共通軸があるもの」などということはありません。
中国語に関しては、まずは色々な案件を受けて、実践から学んでいく、力をつけていくしかないと、実体験を通じて感じました。
これは、検定試験ひとつ見ても感じ取れるところです。2カ月前のブログ「中国語翻訳」の開拓方法(英語とは違うアプローチが必要)にも詳しく書いています。
でも、それでよいと思います。
逆に、これに気がついたからこそ、自分で精一杯動けたと思いますし、動かないとと、心の底から危機感を持てたと思っています。
これはレバレッジ特許翻訳に限ったことでなく、
結局のところ、すべてを講座に(講座から得られるものに)頼って何かを成し遂げようと思うのはある種の大きな間違いだと思います。
とくに、中国語に関しては、本当に自分から動かないと何も進みません。見本がない、情報も少ない、英語の手法が通じない、の「3ない状態」だということに途中で気がついたので、早々から種まきを始めましたし、人のせいにせず自分から積極的に動くということができました。
この思考が身についたのは、フリーランスとして大きなプラスだったといえます。
中国語翻訳やその市場に関しては、特許分野だけではなく多方面に情報を取りにいきました。ブログにはあまり書きませんでしたが、こまごましたアプローチも続けていました。それをやっていなかったら、今の仕事も存在していないでしょう。
この講座で学習をしていると、学ぶことが本当に多いです。フォローも細やかなので、本当にありがたいですし、何度も助けていただきました。
一方で、中国語方面の情報を積極的に取りに行き、さまざまなことを感じ、また自分が当事者として仕事をするようになってから、初めてわかったこともありました。その中で、講座を通じて得られる考えやアドバイスとは「少し違うのではないか?」と感じることも少しずつ増えていきました。
どちらが正しい、間違っているの話ではなく、私が言いたいのは、
「自分で実際にやってみたことの方が、自分のヒントになることがある」ということ。そして、目の前の人と意見が違っても、その「根拠」が自分の中ではっきりしている、その前提として「根拠」が得られるまで自分でしっかり行動しているということが、何より大事なのではと感じるのです。
自分で行動して、生きた情報を自分で取りに行く。そして、それをもとに考えて、自分で行動する。もちろん、責任を持って。
これって、フリーランスの基礎の基礎だと思います。
こんなことを感じることができたのも、きっと言語が「中国語」だったからだと思います。
なので結果的にはこれでよかったなと、次に(卒業後に)つなげることができるなと、そう感じています。
上で語った「実践重視」と「種まき」については、別の機会に記事にしたいと考えいます。
最後に
この2年間、多くのことを学びました。
管理人様、受講生の皆様、本当にお世話になりました。ありがとうござました。
お陰様で何とかスタートには立ちました。スタートに立つのって本当に難しい。難しかったです。でも、この部分は講座の力をお借りしてなんとか実現できました。
あとは自分で。
一歩ずつ、焦らず、でも急いで、確実に、前に進めていきます。
2021年もがんばります。