※本記事は、フリーランス翻訳者になるための直接的な情報は記載されていないため、翻訳に関する具体的な情報を求めてブログをご覧いただいている方はスルーしてください。
今日は4年にわたる不妊治療という経験を通じて感じた3つのことをシェアしたいと思います。
先にお伝えすると、この3つです、
「できるうちにやっておくということ」
「自分の頑張りと成果の関係を理解する」
「お金で手段を買うことができる(リアルな話)」
このブログではあまり触れていませんでしたが、私はずっと不妊治療をしていました。中国に住んでいるときからクリニック通いはスタートさせており、日本に帰国後、より本格的に実施。
34歳から始めて、いわゆる「普通の妊婦」になるのに4年かかりました。
◆不妊治療に関して、状況をざっくりシェア◆
最後まで原因は不明、夫婦ともに特に異常なし。※かなり踏み込んだ検査までしています
タイミング法、人工授精といった(今の私にとっては)かわいい治療は今やはるか昔の思い出。4年のうち、高度不妊治療(いわゆる体外受精・顕微授精)は丸2年、ぶっ続けでやりました。少し専門的な用語になりますが、採卵にいたっては2桁数実施しました。移植も、10回はしていませんが、それなりの数をしました。それでも、それだけのことをしても、とにかく妊娠しませんでした。採卵で卵が採れても移植できるレベルまで育たない、移植しても着床しない、とにかく結果が出ない……。各検査の数値はむしろよい方なのに、妊娠まではたどり着かない。これだけやっても妊娠しない人はいわゆる「原因不明」となり、年齢からみても全体の5%もいないレアなケースと言われました。少数ですが、いるのです。こういうタイプ。
何年も夫婦で話し合って進めてきましたが、今回、初めて妊娠に至り、今のところはありがたいことに順調です。今までが今までだけに心配はつきませんが、なんとか無事に最後まで頼む!といった感じです。あとは信じるしかありません。
本題はここからです。
「できるうちにやっておくということ」

私がまずお伝えしたいのは、「それができるうちにちゃんと自分で選択をして、それができるうちにできる限り進めておくべき」ということです。
私の経験をお話します。
実は、そもそもフリーランスという道を選んだのも、そのための準備として(期限を決めて)翻訳講座を受講した理由も、不妊治療が大きく関わっています。
夫の仕事の関係で住んでいた中国から帰国したとき、再就職も検討しましたが、フリーランス(としてやっていく準備)を選びました。夫が転勤族のため、私がフリーランスで仕事を続ける方が自身のキャリアが途切れないというのも大きな理由です。これからも夫婦一緒に暮らす生活を私自身も望んでいたため、というのもあります。一方で、不妊治療に本腰を入れるためという理由も実はありました。
不妊治療はクリニック通いが必須であり、かつ自分では予定が組めないために時間的調整が自分でできるフリーランスを選びました。高度不妊治療ともなるとけっこうな回数を通院します。なんとか調整して通院しても、体の状態によって「うーん、明日もう一度来て」なんてよくあることですし、また1回の通院で半日以上つぶれることなんてザラです。
10年くらい通っている会社で有休も取りやすいポジションなら(今はフレックスもありますし)並行できますが、ゼロから中途で入った社員がこれはキツイだろうなと。
しかも再就職できたとして、不妊治療と並行できたとしても、いつ妊娠するかもわからない、入社してすぐかもしれないし、まったくわからない…というような状況では会社側、私ともにもろもろ設計できないなと。
ということもあり、まずは不妊治療を優先させることを、帰国と同時に決めました。私も、夫も納得して。
夫婦で考えた優先順位、私のやりたいこと、その他いろいろな条件をミックスさせて、当時の自己ベストな選択をしました。
今思えば、この選択はベストだったと、そう思います。
そこからは、とにかく必死。プロフィールにあるように、まずは自分で動いてみて、フリーランスとしてデビュー。いくつか仕事を受けた中で「基礎不足」を感じ、講座受講。特許翻訳者になるべく駆け抜けました。翻訳の仕事にたどり着くまで、そして現在の状況はすでに記載しているので、ここでは触れません。
不妊治療に関していうと、ここまで時間がかかったのは不本意だし、本当に辛かったです。
でも、自分ではどうしようもなかった。これが本音です。
一方で、私の中ではこれが最短だったと思っています。適切なタイミングで転院もしてきましたし、かけて成果につながるものにはお金もかけました。
結果として、私たちとしてはきっと最短だったといえるものの、妊娠に至るまでには当初の想定の倍以上の時間がかかりました。誰も悪くないけれど、神様は非情だなと思います。
ただ、もし講座受講後わりとすぐに(例えば半年)で不妊治療が成功していたら?
もちろん嬉しいです。不妊治療は本当にきつかったですから。
でも、
幸か不幸か、講座受講半年で妊娠していたら、現在のフリーランス翻訳者の道は閉ざされていたでしょう。
あくまで私の場合ですが、そう思います。
あのペースで、あの濃度で、あのスピード感で、あの絶対量で、学習の量と質を求めて毎日をまわしていくのは、子どもを生んでからでは、または妊娠した後では、絶対に、絶対に無理でした。
あくまで結果論ですが。
ここまで妊娠できなかったのは人生においてかなりの痛手になりましたが(ダイレクトな書き方をしてすみません。「年齢」だけでなく「経済的支出」「メンタル」の面でも相当削られたのはまぎれもない事実なので)、
一方で、仕事の面だけ見れば、ここまで組み立てることができたのは大きいです。産休で一旦離れても大丈夫というラインまで、最低限のベースはできたかなと思えるところまでもってこられたのは、本当によかったと思います。経験だけでなく、モニターやソフト等の仕事環境構築という面を含めても。
もちろん全体像としては、理想とはまだ距離がある状況ではあるものの、ほんの少しだけ「よくやった」と自分に言いたいです。「不妊治療の進捗に関わらず、仕事に関わる準備をとにかく前倒しで、全力でやってきて、その点はよくやった」と。
※ちなみに私は1.5年コース+延長0.5年なので、合計2年の講座期間でした。2020年12月に完全卒業しています。
すでに卒業生ですが、講座スタート月からカウントすると、現在2年5ヵ月目です。1年やそこらで駆け抜けていく受講生もいらっしゃいますが、私のような凡人は、やっぱりこれぐらいの期間はかかるなという感じです。
途中で出産されて戻ってこられる受講生もいらっしゃいますが、私の性格では絶対に無理でした。実際にお金が入ってくるフェーズの前に(例え「妊娠」という素晴らしい理由であっても)学習を中断していたとすると、モチベーションも戻ってこなかったと思います。
そう考えると、まあ結果論ですが、不妊治療での予想外な遠回りもこれでよしとしようと。
むりやり納得させている感も否めないですが……汗
なので、話をもとに戻すと、不確定要素って人生でそこら中に転がっていますが、いつ何がどう進むかわかりませんので(逆に進まないということもあり得ますので)、何事もできるうちに全力でやっておくことがとても大切!ということをお伝えしたいと思います。
「自分の頑張りと成果の関係を理解する」

トライアルに初めて受かったとき、「頑張ったね!」と言ってもらえたことがありました。まだまだとは思いつつ、本当に嬉しかったことを憶えています。
妊娠した、不妊治療が長かったというと、「そっか!本当に頑張ったね!」と言ってもらえることがあります。もちろんありがたいです。
一方で、逆方向で考えると、ふと疑問に思うことがあります。
どういうことでしょうか?
トライアルにずっと受からない人、仕事の依頼がずっとない人(=昔の私)は「頑張っていない」のでしょうか?
もちろん頑張っていましたよ!泣
でも、もしかしたら「相対的に」みたときに頑張りが足りないという事実はあるのかもしれませんね。
必要な知識に対する学習、メールでのちょっとしたやり取り、アピール方法…… 自分ができる準備の中で、「合格者」と比較したときに何かが足りていないから落ちるのですよね。
なので、そこを何とか強化しよう、改善しようと試行錯誤する。その努力(というとちょっとおこがましいですが)の積み重ねで、「合格」にたどり着く。
そこで言われる「頑張ったね」は本物ですし、やっぱり自分の頑張り、汗の量で少しだけ角度が変わったというのも事実。そもそもそうしていかなければいけないものではありますが。だから、「頑張ったね」が嬉しいのです。
では、不妊治療はどうでしょうか?
高度不妊治療を同じ回数 していても授かっていない人はたくさんいます。その人たちは「頑張っていない」のでしょうか?
答えは、「関係ない」です。
※タイミング法や人工授精だと、体調を整えたり、自分たちでできることもありますが、高度不妊治療になると、ほとんどはラボ(培養室)の中で行われるので、決められた量の薬を飲む、自己注射の時間は絶対守るなど以外に自分でできることはありません
言葉は悪いですが、くじ引きですね。
移植できる卵があるかどうかは採るまでわからない。
ちゃんと分割して育つかどうかは培養してみないとわからない。
当然、収穫ゼロもある。
移植しても着床するかはわからない。
本当に、蓋を開けてみるまでわからない。
超高額なくじ引きを繰り返すようなもので、1回で成功する人もいれば、2桁やって成功しない人もいる。
もっと厳しいことをいうと、そもそも「当たり」が入っているくじ引きでない場合もある。要は、どれだけ回数を重ねても、汗を書いても、リソースを割いても、自分がそもそも妊娠できる体ではないというのは、残念ながら今の医学ではわからないという事実。
高度不妊治療までいくと、自分の頑張り(熱量、思い、かけた時間、お金)に関わらず、結果が出るか否かをこの手で変えることはできません。しかも体の仕組みでチャンスは月に1回。1年に12回だけ。どれだけ焦っても、前倒しで進めたくでも、できません。
そして、「今回はだめでした」という結果を聞いたら、また来月、ゼロから。その場合、前回あれだけ進んでいたから次は少し進んだところから、というものも一切ありません。毎回、ゼロからもう一度やります。
高度不妊治療の世界では、頑張りは成果とリンクしないのです。ここが不妊治療の非情なところなのです。
私はこの非情な仕組み?である不妊治療とずっと隣り合わせだったので、翻訳者になるための学習に関しては、めちゃくちゃしんどかったものの、どこかで「楽だ」と感じていました。
なぜなら、自分で結果を変えることができるから。
やっていることが成果につながるから。
そんなの、奇跡じゃないですか。
成果につながるのが早い・遅いはありますが、積み上げてきたこと、試行錯誤したことはその分、小さな成果になりますし、それをもとに小刻みでステージを上げることだってできます。
なんてありがたいのだ……としみじみ感じていました。なので、ちゃんと返ってくるのだからしっかり頑張ろう!頑張らない理由なんてない!と、その「仕組み」に感謝しながら進めることができました。
でも、もし不妊治療がなければ、なかなか進まない状況に落胆したり、これだけやってもまだダメだったなんて必要以上にやさぐれていたかもしれません。
不本意ながら、非情に冷酷な世界とずっと隣り合わせだったため、翻訳の学習をより前向きに進めることができました。
翻訳者になるための学習、色々な準備、しんどいですしメンタルが打ちのめされるときもありますが、自分で結果を(ほんの少しでも)変えられるって、本当に素晴らしいことですよ! ということをお伝えしたいです。
「お金で手段を買うことができる(リアルな話) 」

最後に少しだけリアルな話をさせてください。
お金の話です。
不妊治療にはお金がかかります。特に、高度不妊治療(採卵・移植の1セット)は1回で50~60万ぐらいはかかります。投入する薬が多ければ、5~10万円多くなることも。
※着床しなければ、その瞬間にこのお金はすべてがパーになりますが、これも現実です。よくあることです。
「不妊治療、本当に辛かった」と散々書いていますが、一方で私たち夫婦は本当に恵まれていると思います。それにトライできる環境があったからです。
経済的な理由で不妊治療を諦める人は少なくありません。我が家にとっても、本当に大きな痛手でした。それは確かです。しかし、結果としてここまで「追う」ことができました。(もちろん、湯水のごとく使えるお金はありませんので、定期的に夫婦で話し合って選択していました)
結果、私たちは、ここまでやらなければ「子どもをもつ」ということができませんでした。回数を重ねたからたどり着いたといえる部分は大きいです。
不妊治療で回数を重ねた人はみな結果が出るかというと、そうではありません。結果をお金で買うことはできません。しかし、そこまでトライできるか否かは、リアルな話、「お金で買えるもの」です。お金がないと、チャンスを買うことができない世界もあるということが、不妊治療をしていて本当に身にしみました…… ほんと、もう、お金が……
自分たちがどれだけ願っても、どれだけ素晴らしい人間でも、どれだけ親にふさわしい人間でも、どれだけ日頃の行いがよくても、「医療」なので、その対価として支払えるものがないと「トライする機会」は得られません。これが現実です。
余談ですが、不妊治療に関するお金は、別通帳で管理していました。普段の生活費と完全に分けていました。生活費の中から毎月20万、30万と引き落としがあるものを目にすると、精神やられます……。なので、「大枠としてここまで」とまとまった金額を準備して、別管理していまいした。
そのお金は、主に独身時代の貯金から出したものでした。私は結婚するまで食品メーカーで働いていたのですが(結婚と同時に夫の海外赴任に帯同するため退職を選びました)、独身時代が長かったこともあり、かつ当時の仕事はありがたいことに年齢的には給料もよかったので、結婚式もろもろで使った後も、ありがたいことにある程度の貯金を残すことができていました。もちろん夫の貯金もありました。それがあったお陰で、(経済的な理由に関しては)かなりきつかったものの精神的に極限まで追い詰められずに進めることができました。これは本当に大きかったです。
今考えると、数年後にこんなことにウン百万円かかるなんて想像もしていませんでしたが…… あのとき社畜でせっせと働いていて本当によかったと思いました(笑)
もちろん、お金がすべてではありません。でも、お金でしか買えないことも世の中、多いです。これも現実。
なので、今もし「フリーランス」や「翻訳」というワードに憧れてこの仕事を始めよう、準備しようという方がいらっしゃったら、声を大にしてお伝えしたいです。
夢も大事。でも、お金を稼げるか否かって、本当に大事です。
ある程度の準備期間は無収入でもよいと思います。最初は収入なんてありません。しかし、その分の生活を支えられているということは、いくらかの貯金があるからだと思いますし、新しいことにチャレンジするとき、その先の未来を考えるときって、お金という要素は本当に大事なポイントになってきます。
「お金、お金、うるさいなー!」と思われるかもしれませんが、実は色々な手段を買えるとっても大事なものなので、今回はお伝えしました。
まとめ
「できるうちにやっておくということ」
「自分の頑張りと成果の関係を理解する」
「お金で手段を買うことができる(リアルな話)」
ということを、不妊治療という少し?特殊な角度からお伝えしました。
ああ…… 来世では何があっても不妊治療は絶対にしないと心に決めています。。。
「きっと何かの意味がある」とか、
「人と違う経験は糧になる」とか、
色々言われましたけど…… わかります。わかりますよ、その意味も。
でも、不妊治療に限っていうと、こんな経験、しなくて済むならそれにこしたことはないですよ。本当に。
まあ、これも私の人生。
過去は振り返らず未来に向かって進むのみ!
とにかく、今からはお金をせっせと稼がないと(笑)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。