アノードって結局のところ正極なの?負極なの?問題

電気分解を学習中です。

アノード、カソード。

アノードって結局のところ正極なの?負極なの?

ややこしいな。わからんな。

そんな思いをかかえながら学習を進めている方も多いのではないでしょうか。

今日は「アノード・カソード問題」(勝手に名付けた)について解説してみたいと思います。

「ややこしい。わからん。」と感じていた原因として、私はアノード・カソードに対する捉え方が間違っていたので頭が混乱していたということに気が付きました。

なぜ混乱していたかというと、「アノード=正極」のセット、「カソード=負極」のセット、というように「紐づけ形式」で捉えてしまっていたからです。

これでは理解できるはずがありません。そもそも、「この言葉の対になるものはコレ」というような単純なものではありません。今やっているところ、その構造を理解しなければ永遠に混乱する項目だと言えます……。

忘れないうちに頭の中を可視化しました。

結論を言うと、アノードは正極にもなるし、負極にもなります。

なんじゃそれ!?ですよね。その考え方を簡単なものに例えました。

田中さんと李さん

田中さんと李さんはお友達。とっても仲良しです。

【田中さん】
名前:田中
話す言葉:日本語

【李さん】
名前:李
話す言葉:中国語

今日も2人で遊んでいます。東京の街でショッピング。

二人の位置づけはそれぞれ、

【田中さん】⇒現地人
【李さん】⇒外国人

ですよね。

翌週、二人は中国にプチ旅行。

その場合、それぞれの「名前」と「話す言葉」はもちろん変わりません。

が、位置づけは変わりますよね。

【田中さん】⇒外国人
【李さん】⇒現地人

逆になりました。

これを図で表すとこうなります。

一番下の『位置づけ』部分に注目

なぜ位置づけが変わったのか?それは、遊んでいる場所が変わったからですね。

図の中にもありますが、これを「アノード・カソード問題」に当てはめて考えてみます。

構造はこうなっています。

【名前】
田中さん/李さん=アノード/カソード

【話す言葉】
日本語/中国語=電子が流れる方向

【位置づけ】
現地人/外国人=正極/負極

【遊んでいる場所】
日本/中国=電気分解/電池

ポイントは2つ:

1:何に対する話(どの分野の話)をしているかで位置づけは変わる
2:「名前」と「話す言葉」のセットが変わらないように、「アノード=電子を放出」「カソード=電子を受け取る」という、電子の流れは変わらない

逆に言うと、「電子の流れがこっち(放出)だからアノードね」と導き出すことができます。(日本語を話しているからこっちの人が田中さんね!のように)

※電子の流れの方向が変わらないということは、電流の流れの方向も変わらないということです

混乱する原因

アノード・カソード問題で混乱する原因のひとつとして、「紐づけする場所が間違ってしまっている」ということがあります。

私がそうでした。

上記の田中さんと李さんの話で例えると、「田中さん―現地人」「李さん―外国人」という部分をセットにして、その後の内容を進めてしまっていたのですね。

遊ぶ場所(議論している対象物)が変わると逆になるので、もうその時点でぐちゃぐちゃになるというわけです。

アノード・カソード問題に関しては、単なる言葉の紐づけで解決しようとせずに、まずは全体像を見て「何について話しているのか」を理解するのが大前提と言えます。

そして、その「場所」であれば……と両者の関係を導き出すという流れです。

もちろん、その「場所」についても知識があることが前提です。電気分解のときはどういった理由でアノードになるのか、電池のときはなぜカソードになるのか。これは、電気分解や電池で起こっていることを知らないと、わからない内容です。

田中さんと李さんが遊んでいる。まわりを見て、東京タワーが見えるのか、万里の長城が見えるのか。

そもそも東京タワーが日本で、万里の長城が中国ということが判断できなければ、「今この話をしているな」ということがわからず、それが中日翻訳だとすれば、原文の内容が正確に理解できないということになります。

これが本番の仕事で出てもトラップにはまらないよう、「今」しっかりまとめておくことにします。

それにしても、ややこしや~~(泣)

まとめ

【アノード】
電子が流れ出す極
=酸化反応 (つまり、還元剤)

電気分解では「正極」
電池では「負極」
となる

【カソード】
電子が流れ込む極
=還元反応 (つまり、酸化剤)

電気分解では「負極」
電池では「正極」
となる

ちなみに……中国語の場合

日本語の概念としては下記のようになります。

正極/負極【電位の高低で分けたもの】
陽極/陰極【電位の高低で分けたもの】
アノード/カソード【電子の流れる方向で分けたもの】

上記をそのまま中国語の単語に置き換えると、

正极/负极【電位の高低で分けたもの】
正极/负极【電位の高低で分けたもの】
阳极/阴极【電子の流れる方向で分けたもの】

阳极/阴极はそれぞれ「陽極」「陰極」を簡体字にしただけのものです。だからまたややこしい。

つまり、中国語では、日本語の「陽極/陰極」は全て「正极/负极」にひっくるめられていて、日本語の「アノード/カソード」を中国語に訳すと「阳极/阴极」になる、ということです。

ただ、上記はWikipediaだけの情報なので、仕事のフェーズに入る前に専門辞書を購入してしっかり対訳していかなねればいけません。

う~ん、漢字の国どうしだから出るややこしさ。注意が必要です。

※化学の学習はこちらのテキストを使用しています。文系出身の知識ゼロから始めましたが、とてもわかりやすい内容なのでおすすめです。

岡野の化学シリーズ:理論化学