2019 特許・情報フェア&コンファレンスに行ってきました!

特許・情報フェア&コンファレンスに行ってきました。今年は11/6・7・8の開催でしたが、私は初日の11/6、最終日の11/8に参加しました。

イベント内容

『2019 特許・情報フェア&コンファレンス』
特許情報および知的財産関連の我が国最大の専門見本市

イベント趣旨:

国力や産業力の源泉となるイノベーション。我が国の成長戦略の柱は、やはり知的財産戦略に求められるでしょう。知的財産をめぐり世界中の国、企業、学術機関が大競争を繰り広げる時代に突入。その戦略手法も、政府支援、産学連携、国際連携と多様化、複雑化してきました。しかしながら、この大競争時代を乗り切るのに不可欠で基本となるのは、やはり知財や特許の情報です。
最新の特許・情報と知的財産関連の新製品・新技術情報を一堂に網羅する、我が国最大の専門見本市を絶好のビジネスチャンスとしてご活用ください。

公式WEBページ「ごあいさつ」より

昨年入場者の業種別割合

今回が初めての参加だったため、「ここにこんなアピールをしにいく」というよりは、できるだけ多くの情報を「仕入れる」ということを目的にしました。中国関連、翻訳関連のブース出展企業は事前にチェックしましたが、イベント全体はどんな感じで進められているだろうというのも楽しみでした。

ちなみに、来場者数の速報が公式WEBページにアップされていました。

2日間で参加したセミナー

◆特許・情報コンファレンスⅠ
『各特許庁施策に関する最新情報』
  【基調講演】特許情報を通じてイノベーションを支える特許庁
   CNIPAにおける特許情報システムの最新情報

◆特別講演
『日本が目指すAI技術:実世界AIの現状と展望』登壇者:辻井 潤一 氏

◆企業セミナー:4社

・グローバル5G競争:特許と業界をまたいだ市場プレーヤーの進展/IPlytics

・パッと見てグッとくる特許分析。3Dプリンティング市場は今こうなっている!/PatentSight

・米中経済摩擦下での中国知財戦略の変化と中国調査の留意点/プロパティ

・データマイニング技術を活かした、中国特許検索ツールCNIPRの機能増強/中国知識産権出版社有限責任公司

全体を通した感想

・企業セミナーが充実している
・特許の価値、役割について改めて考えるきっかけになる
・出展の大部分はサーチャー向けの分析サポートツール
・機械翻訳は分析ツールの機能としてバーターでアピール
・翻訳者はイベントのメインターゲットではない(だからよい面もある)

企業セミナーに関して、規模の大きなイベント(会場がビッグサイトなど)では1社20分ぐらいで次々まわしていくイメージですが、こちらのイベントは1社の持ち時間が45分あり、簡易スペースではなくちゃんとした会議室で行われます。

よって、内容もしっかりしており、今まで参加したことのあるイベント・展示会の中で最も充実した企業セミナーでした。

今後は「保有数」ではなく「1件の価値」へ

企業セミナーは結局のところ「だからうちの製品を買ってね」という着地点になるのですが、今回参加した企業は全て特許分析システム企業。

自社のシステムを使って分析できる内容、インターフェイス、出力データなどなど、「こんな切り口もできまっせ!」「こんなに見やすい資料作れまっせ!」というアピールをするのですが、当然ながらテーマを選ばないといけません。それが3Dプリンタであったり、5Gであったり、各社タイムリーな素材をテーマに選んでいますので、聞いていて非常に興味深く、また市場の最新情報も得られるという一石二鳥のセミナーでした。

ほうほう!そんな切り口があるのね!と、分析方法も大変勉強になりました。前職の食品メーカー時代、販売データや市場データなど様々な数字を扱って、切り口を変えながら仮説を立てるのが非常に面白く、そのときのことを思い出していました。

各社共通していたことは、特許の数ではなく1件あたりの価値にスポットを当てるということ。

その「価値」を点数化するアルゴリズムはシステムによって異なりますが、独自のシステムによって「価値ある特許を保有する企業を浮かび上がらせる」というストーリーがほとんどでした。

後願特許へどれだけ引用されているかという切り口も、今まで考えたこともありませんでした。

サーチャーの仕事の内容もいまいちわかっていなかった私ですが、「こんな情報が必要で、こんな内容を求めて、こんな方向を調べるのだな」というイメージが少し掴めただけでも、大きな進歩です。

そして、特許以外の面でも常に情報アンテナを張っておくこと。自分から情報を取りにいくこと。この重要性も改めて感じました。

セミナー入り口で係の人に渡す名刺をチラ見すると、日本を代表する企業の方ばかり。皆さん知財部です。ある意味、日本の技術を守っている人の集団だなと思うと、すごい仕事だなと感じました。そう考えると、特許に関わるってやはり責任重大です。

中国知財のこれから

現在、中国は特許出願件数世界第1位。今まで数だけが注目されることが多かったですが、中国では知財に対する考え方も徐々に変わってきています。侵害したときの罰則が厳しくなったり、いわゆる「ゴミ特許」を増やさないように審査が厳しくなったり、数だけでなく「1件の質」を重視する動きが加速しています。

また、審査期間の短縮など、国としての仕組みづくりの面でも改善が進んでいます。

中国知財に関わるセミナーにいくつか参加したりブースでヒアリングしたりしたりして情報収集をしていました。翻訳者に関係ある情報として2つをシェアします。ニュースなどで目にする内容とも一部重複していますが、改めて記載します。

知財重点分野

◆中国知財の重要な発展分野(政府からの指針あり)
 キャッスレスシステム
 半導体メモリ
 超高解像度ディスプレイ

中国は国として指針が発信されると、「努力目標」ではなく「必達要件」として全体が一気にそちらに向かいます。要は、分野として今後最も拡大する(拡大させる)ことが決まっているということ。

特許事務所の分布

中国に特許事務所は約2000社あり、北京と広東省で約半数を占めています。これだけ偏りがあるのは知りませんでした。要は、将来的に中国から何らかのかたちで仕事をとろうと考える場合、この2都市以外へのアプローチはチャンスロスになる可能性が高いということ。

特許事務所が多いということは、そこに営業にいく特許翻訳会社も多いということです。特許以外の翻訳市場は全国に存在するので、あくまで「特許翻訳」という観点で見た場合ですが。

ちなみに上海も特許事務所は多いのですが、上海含めた浙江省は意匠の出願が多い傾向です。

セミナーの合間にブース訪問もしました。聞きたいこと、確認しておきたいことはだいたいできました。

情報は現場にしか転がっていないと営業時代によく言われました。まあ業界にもよると思いますし、全部が全部、外に出て取りに行かないといけない情報でもないと思います。しかし、外に出ると、転がってくる情報が倍増するのは事実です。

こういった機会には積極的に情報を取りに行き、その先のプランとして「情報を発信する側の立場になる」ということも常に考えていかないといけません。

そんな思いとともに、家路につきました。

簡単ですが、イベント参加レポートは以上です。