中国語特許明細書 学習方法を変更

現在、対訳学習を進めています。ターゲット言語のみ中国語に置き換えて、講座の手法で学習しています。

第1段 講座ビデオにある特許素材(最初から最後まで見様見真似で作業)
第2段 講座ビデオにある特許素材(先に自訳、後にビデオで確認)
第3段 自分で探してきた素材(先に自訳、後に公開訳と比較)←ここ

訳出が全て終わって公開訳との差を捉える学習において、第3段からは大きくやり方を変えました。どう変えたかというと、こちらです。

・アナログ方式に切り換えた

具体的には、ノートに手書きで切り貼り・書き込みスタイルにしました。第1段、第2段まではワードに書き込み・印刷して貼り付け整理、といった流れでした。

※アナログ方式にしたのは「訳文比較に関する項目」です。訳出前の専門知識学習は、ワード書き込みや画像キャプチャ印刷をフル活用しています。

アナログ方式に変えた理由

明細書のフォーマットが頭に定着していなかったことがわかった

第3段で自訳したあとに公開訳と比較しました。講座のビデオにはない素材ですから、自分で料理していく必要があります。

そのときに、「明細書に書いてある内容が意味不明」ということではないのに、中国語も機械の動きも(ステップも)理解できるのに、カチッとくる表現が書けないという場面が何度もありました。

※用語ベースや翻訳メモリが不完全というのも原因のひとつですが、それ以前の問題だと感じました

明細書の「流れ」は何度も目にしていますし、チャンクはオリジナルの資料としてもまとめています。

では、なぜなのか?

自分の中に定着していないのです。脳みそに一度「ザクっと」刻み込まれるという段階までもっていくことができていなかったと痛感しました。

「書き込んで」整理すればわかりそうと感じた

この「ザクっと」ですが、私の場合、ノートに手書きが一番効果を感じます。よって、アナログ方式に変更しました。時間は数倍かかりますが……

ここでの「書き込む」は文字そのものだけではなく、矢印や色分けのことももちろん含まれます。頭の中には「あ、あれ、そう。あれとあれだから……」と惜しいところまで来ているのですが、つながらない。

(当たり前ですよね。つながっているところを「ビジュアルで」見ていないのですから)

思い出したのは岡野の化学。あのときの「いまいちわからないことを少しでも理解できるように」「少しずつ整理して紐解けるように」とやってきたこと、その手法は本当に役に立ちます。あのとき頑張ってやってよかった!

余談ですが、今回は電子殻の概念を理解するよりも数倍楽に感じました。だって相手は日本語と中国語だけですから。当時の私にとって化学は宇宙語そのものでした……

ということで、大量の明細書を読み頭の中にホイホイ放り込んで蓄積していた「なんとなくイメージ」を、今回はきちんと目の前に出して、「ビジュアルで」書き出し、可視化することに。今さらか…という感じですが。。。遅いですよね。

久しぶりにノートを晒します。

こんな感じでできるだけシンプルに、わかりやすく。自分専用のオリジナルテキストを作成するつもりで作成。

毎週行くスーパーの手羽元の場所

今回の失敗、例えるとこんな感じです。

週に何度も行くスーパーがあったとします。

野菜売り場はあそこ、魚売り場はあそこ、乳製品はあそこ。当然、場所は覚えています。その場にいなくても(家にいても)聞かれればすぐ頭に浮かびます。間違えることはありませんよね。

しかし、こう聞かれるとどうでしょうか?

人参の上に並べられている野菜は何?

魚売り場のパック切り身コーナーは何から始まる?

手羽元はいつも何段目に並べられている?

いや、えっと、そんなの聞かれても…… 何十回と目にしているのに、触れているのに、即答できないですよね。

まさにこれです。

まあ、手羽元が置かれている位置はどうでもよいとしても、これが非常に大切な、特許翻訳をするうえで今後も何度も問われる重要な事項だとしたらどうでしょうか?

内容自体は決して難しいことではなくても、一度しっかり意識を向けて工夫をして覚える(自分の中に定着させる)ことをしないと、これって何十回行ってもわからないのです。

例えば、上記のようなスーパーに関することだったら一度自分の画用紙と鉛筆で売り場をスケッチしてみる。時間をかけて細かい部分まで。そしたら手羽元の位置に関する問題を出されてもすぐに解決しますよね。そして、時間が経っても忘れませんよね。

今回はその「スケッチ」を、自分の手を動かしてやったということになります。

もう少し早くやっておくべきでした。

パシャパシャと写真に収めても売り場は綺麗に写りますが、シャッターを押すだけの人と、手書きでスケッチした人、いざ売り場を再現しろと言われてできるのはどちらか。要はこういうことですね。

こういうときこそ、アナログの力は絶大です。

かなり整理できました。

また一冊、自分専用テキストが増えました。

定型表現は明細書によって少しずつ異なります。参考としてベストなものはどれか、この見極め力も含め、今後もブラッシュアップしていきます。

おぼえがき

変更と変換

これらの実施形態に対する様々な変更、改良、置換、変更をすることができると理解でき、…

変更が2回入っていた……。日本語としてダメじゃない?

原文を確認。

可以对这些实施例进行多种变化、修改、替换和变型,…

色々調べた結果、

変更、改良、置換、変更

         ↓

変更、改良、置換、変換

私であれば「変換」と訳します。

◆メモ◆変更と変換の違い

変更:変え改めること。例「予定を変更する」
変換:ほかの物に変えること。例「かなを漢字に変換する」

添加物を変更したり、電圧を変換したりしてもいいよってこと。

翻訳時に間違えそうな単語

「均等物」という単語を初めて知りました。知的財産用語です。

均等論(均等侵害)とは、文言どおり忠実に解釈すれば権利範囲に含まれないような物(方法)であったとしても、本質的に特許された発明を模倣していると考えられる場合には、均等物(均等方法)であるとして権利範囲に含める解釈をいう。

知的財産用語辞典WEB

中国語と日本語が同じ意味であり、漢字の表記は前後が逆。このパターンの単語、中国語にはけっこうあるのです。

例えば、

【中】介绍 【日】紹介 【中の意味】紹介する

【中】买卖 【日】売買 【中の意味】売買、商売

【中】事实 【日】事実 【中の意味】事実

日本語明細書の中にはあった「均等物」という言葉。 中国語原文は「等同物」です。

上記のパターンから、【中】等同=【日】同等 と訳してしまいそうになります。「同等物」って、明細書の中にはいかにもありそうですよね。

知的財産分野では「同等物」ではなく「均等物」という用語が使われています。「同等」は「○○と同等の効果」という使われ方をしています。

ちなみに正確には上記の【中】等同 は「同一に扱う」という動詞で、「同等の」という中国語ではありません。

「同等の」は【中】同等 です。

よくあるパターンに引っ張られて、無意識に誤訳してしまう。当業者が使用する専門用語を知らないばかりに日本語としても(その場面で使うのは)おかしい。でも、それすら気が付かない。

ああ、まさにこのパターン。危ない、危ない。背筋がゾクッとしました。

他に訳出時に迷った用語、チャンクを抜き出し、今まで読んだ明細書を引っ張り出してきて串刺し比較。

よく出るパターン表現ほど、微妙に違う訳のものが複数存在して逆に混乱します。中→日に訳されたもの、純日本産のもの、複数の明細書の同じ場所を見て確認。地道な作業ですが、小さな「腑に落ちる」がたくさん。

今日解決したかった疑問は全てクリアになり、気持ちもスッキリしました。明日も頑張ろう!