1/19(土)~20(日)
学習時間:17時間
(1/19:7h、1/20:10h)
<視聴ビデオ>
TC0049_岡野の化学(49)
TC0050_岡野の化学(50)
TC0051_岡野の化学(51)
TC0052_岡野の化学(52)・有機化学①<完>
TC0053_岡野の化学(53)・有機化学②【第6講】
その他
岡野の化学 第10講まとめ(マインドマップ)
明細書1件 「パラオキシ安息香酸エステル」で検索
化学の資料読み込み
岡野の化学 有機化学②へ
有機化学①が終了。復習を兼ねて第10講をマインドマップにまとめました。
有機化学②第6講は高分子化合物。ビデオで全体の流れをつかみ、各化合物に入る前に自分でノート作成(途中)。
マウスウォッシュに関する特許
第9講の芳香族化合物がひと段落したので、具体的な化合物名で明細書を検索してみました。本日読んだものはライオン株式会社の特許。『パラオキシ安息香酸エステル』で検索、比較的新しいもので気になるものを1件選びました。
特開2018-39739
公開日:平成30年3月15日
出願人:ライオン株式会社
発明の名称:液体口腔組成物
内容としては、『パラオキシ安息香酸エステルを含有しなくても、メントールの析出が抑制され、優れた外観安定性をもつ液体口腔用組成物』というもの。
液体口腔用組成物 とは、いわゆるマウスウォッシュのことですね。
パラオキシ安息香酸エルテルを含有しないかわりに、オイゲノール、サリチル酸メチルを含有すると記載があります。
ここで2つの疑問がわいてきました。
1、パラオキシ安息香酸エステルって、体に悪いの?
2、メントールの析出って、よくないことなの?
まず、2の疑問から先に紐解いていきます。
メントールの析出
メントール:
ウィキペディアから抜粋
環式モノテルペン、アルコールの一種の有機化合物。ハッカ臭を持つ、揮発性の無色結晶である。歯磨きやチューインガムなどの菓子類、口中清涼剤などに多用されるほか、局所血管拡張作用、皮膚刺激作用等を有するため、医薬品にも用いられる。
ガムを噛んだとき、化粧水をつけたとき、マウスウォッシュを口に含んだとき、「ス~!」っと感じる。あの爽快感の素ですね。
このメントールは、低温になると「メントールウィスカー」と呼ばれる髭状の結晶が組成物から出てきてしまうのです。医薬品にも使われるメントール。PTP包装(お薬のカプセル等)では曇りを生じたりすることもあります。各社、この結晶化をなんとか抑えたいところ。そこで一緒に使われることが多いのが防腐剤。それがパラオキシ安息香酸エステルです。
パラオキシ安息香酸エステルとは
パラオキシ安息香酸エステル:安息香酸エステルのパラ位にフェノール性ヒドロキシ基を持つ有機化合物群の呼び名。主に飲料向けの防腐剤として使用されているが食品・医薬品あるいは化粧品の防腐剤成分名として掲示する場合に、製品に複数種含まれるパラオキシ安息香酸エステルを総称してパラベンと呼称される。
Wikipediaより抜粋
パラオキシ安息香酸エステル は主に防腐剤として使われている。そして、「パラベン」と呼ばれている。

Wikipediaより
さっそく洗面所を探してみる
ありました。ヘアフォームの裏面表示に記載があります。

パラベンフリー
さて、本題に戻ります。なぜパラベンの含有を避けているのでしょうか。明細書にはこのような記載があります。
『近年、口腔用組成物では、安全志向の高まりなどからもパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)を含まないパラベンフリーの口腔用製品が望まれるようになってきている。』
パラベンフリー?
明細書の中には、パラベンフリーと安全性の理由について具体的記述はありませんでした。複数サイトで情報収集したところ、以下の理由であると推測されます。
・肌荒れや裂傷などに塗布すると、アレルギーを発症することがある
・乳がんのリスクを増加させると言われている
・体内に蓄積され、発がん性を伴う危険性があると言われている
参考サイト:
エイジングアカデミー:パラベンとは?パラベンフリー化粧品のメリットとデメリット!
LUSH:どうしてパラベンは議論を呼んでいるのでしょうか?
ハピモノ:パラベンフリーについて
ただ、上記サイトには「パラベンと乳がんとの因果関係は明らかになっていません」「 現在、パラベンを含む商品を使用することが、直接的に乳がんを引き起こすことを示唆する決定的証拠はありません 」とも記載されています。
天然物中にも存在するパラベン
パラベンは化学的にしか合成できないと思っていましたが、天然物中にも存在する物質のようです。
こちらのサイトを参考にさせていただきました
上野製薬株式会社:パラベン
植物中のパラベンやパラヒドロキシ安息香酸はポリフェノール類に分類されますが、我々の身近な野菜やフルーツにも広く含まれていることが古くから知られています。近年ではニンジン、トマト、あるいは菜種油、オリーブ油などの植物の抗菌作用や抗酸化作用が注目されていますが、それらの中にもパラベンやパラヒドロキシ安息香酸が含まれていることが分かっています。パラベンは体内に取り込まれると容易に分解されて、代謝物である『パラヒドロキシ安息香酸』に変化して速やかに体外に排出されることが知られています。
上野製薬株式会社HPより
昔から口にしてきた「パラベン」。食品にも使われています。日本でも使用基準が定められており現段階ではその中での運用となりますが、パラベンフリーの製品が今後増えてくるのでしょうか。興味深いです。