2/2(土)~3(日)
学習時間:16時間
(2/2:11h、2/3:5h)
<視聴ビデオ>
2966_トライアルレビューの前に
その他
苦手箇所の克服
化学資料の読み込み
ノート見返し
知的財産権の書籍 読み進める
目次
苦手分野の克服
2/2(土)、岡野ビデオを進めたい気持ちを抑えて、今自分が苦手としているポイントをいくつかピックアップし、「ここで一度しっかり理解する」ということに時間をかけることにしました。「わからないストレス」と逃げずに戦います ……と書いた瞬間、今トライアルを受けている受講生に比べれば、なんてしょぼすぎる戦いなんだーと苦笑いです。。。
今日は何時間かかってもいい!という覚悟で腰を据えて紐解いていきました。ええ。かかりました、時間……。最新のおやつビデオや書籍で途中休憩を入れましたが、あっという間に一日が終わっていました。
こんな感じでざっくり進めていきました。
1、理解できていない内容をざっと書き出し
芳香族化合物の求電子置換反応
オルト-パラ配向性(なぜそうなるのか?)
双生イオン
カルボカチオン(安定に順番ってあるの?)
求電子剤と求核剤とベンゼンの関係
この際、一回やったけど復習が必要な内容も書き出し
ローンペア
オクテット則
ラジカル
2、ホワイトボードに付箋で貼り付け
3、まだ読めていなかったPDF・PPT関連資料を片っ端から読む
(※さっとではなく、今回はひとつひとつ頭に理解させながら)
→ここでかなりの時間を要しました
4、ノートを作成しながら頭を整理
→「わかっていそう」なところも飛ばさず丁寧に作成
5、わかった!と思ったら付箋を外す
3~5をくり返す
最初、なかなか強敵だなあと思っていたのですが、資料を読み進め整理のため手で反応式を書いていくと、少しずつ「壁」が崩れていくのがわかりました。
そして、1つの付箋が取れると、他の2つがけっこうあっさり取れたりするのです。視覚で確認できると、知識の繋がりがはっきりわかって面白いですね。
上記項目の1つ、芳香族の求電子置換反応についてまとめてみます。
芳香族化合物の求電子置換反応
~学習を始める前の疑問点~
・ニトロ化の反応速度が「速い」「遅い」って何?
・オルト-パラ配向性って何?
メタ配向性もあるの?
・活性化置換基って何?不活性バージョンもあるの?
以下、4つの反応を見ながらそれぞれの疑問に答えたいと思います。
作成にあたり、こちらの資料(名城大学『芳香族化合物の反応』)を参考にさせていただきました。
ベンゼンのニトロ化
ベンゼンのニトロ化は、芳香族化合物の置換反応で一番簡単なやつ。まわりに何も付いていない六角形のやつ、「ベンゼン」。このベンゼンにニトロ基がくっついたのが「ニトロベンゼン」。そしてこの反応が「(ベンゼンの)ニトロ化」

このとき、ニトロ基が六角形のどの位置にくっつこうが、差はありません。どこでもいいです。だってくるくる回せば、結局どこでも同じですから。どこにくっついたって、お隣さんは炭素と水素しかいないですから。
ちなみにこれは置換反応です。「置換反応」と書くと難しそうだけど、これがなぜ「置換反応」なのか?私もそうですが、ベンゼン環を書くときは六角形と内側の丸で終わりなので、それぞれの炭素に結合している水素の存在を、ついつい忘れてしまいます。
その水素原子が1つ、「サヨナラ~」と手が切れて、ニトロ基と置き換わる。つまり水素とニトロ基が置換しているので、「置換反応」というのですね。
※ちなみに水素がサヨナラするまでに、実は色々な動きがあります。そこが今日のポイントです
トルエンのニトロ化
次にトルエンです。トルエン(IUPAC:メチルベンゼン)は-CH₃(メチル基)がくっついているベンゼンでしたね。
このとき、メチル基を12時の方向に位置付けると、ニトロ基が置換する位置は3種類になります。(なぜ5種類でないかというと、ひっくり返すと同じだから)

メチル基のお隣がオルト位、ひとつあいた場所はメタ位、一番遠い場所はパラ位といいます。
ちなみにこのトルエンのニトロ化は、ベンゼンのニトロ化よりも速く進みます。ニトロ化の実験を、まったく同じモル数でせーので始めて、同じ時間でストップして、調べてみると、既にニトロ化している数はベンゼンよりもトルエンの方が多いのです。
なぜでしょうか?
答えは、中間体の安定性にあります。中間体では六角形のCの上を正電荷が移動しているのですが、居座る場所(帯電する位置)で違いが出てくるのです。ニトロ基がオルト位・パラ位へ反応を起こすとき、メチル基が結合している炭素原子が第三級カルボカチオンになるのです。
メタ位に付加した場合、第三級カルボカチオンが存在する瞬間はありません。
反応というのは安定性が高い状態を優先するため、オルトとパラの位置に置換した化合物がどんどんできるのですね。
原子も人も、心身ともに安定した状態のときは調子もよく、どんどん前に進みますよね。それと同じで、安定性のある状態が多いほど、その反応速度が速まり、ぐんぐん進むのです。

フェノールのニトロ化
次に、フェノールを見てみましょう。フェノールもトルエンと同じで、ニトロ基がオルトとパラに置換したとき、中間体の安定性は◎です。なので、フェノールのニトロ化のときも、ニトロ基がオルト・パラの位置に置換した化合物が優先的に生成されます。
ただ、ひとつポイントがあります。フェノールのニトロ化で注意すべきは炭素原子に結合している酸素原子です。-OHのOにローンペアがありますよね。ローンペアをお隣さんに持つカルボカチオンは、安定性がより高まるのです。
安定性が高いほど反応速度が速まる。よって、メチル基がついているトルエンよりも、ヒドロキシ基がついているフェノールの方が、ニトロ化の反応速度が速いということになります。
※以下、資料の例はフェノールではなくアニソールの反応機構です

安息香酸のニトロ化
安息香酸ってなんだったっけ……?ベンゼンに-COOH(カルボキシ基)がくっついたやつです。
この場合、カルボキシ基のCが正電荷を持っているので、結合しているベンゼンのCが正電荷を持つ(カルボカチオンになる)と、互いに反発するのです。お互い気分が悪いわけですね。気分が悪い=不安定ということです。
カルボキシ基が結合しているベンゼンのCの位置に正電荷が来るのは、ニトロ基がオルト位かパラ位にきたときでしたね。このときは、「かなり不安定」ということです。
ではメタ位の場合はどうでしょうか。カルボキシ基の正電荷と少し離れますので、不安定といえば不安定だけどさっきよりはまし、といったところでしょうか。「まあまあ不安定」ということですね。

これらの中間体ができる中、「かなり不安定」と「まあまあ不安定」という選択肢の中、それなら「まあまあ不安定」の方がまし、ということで、メタ位への反応を優先するのですね。
人間と同じ。かなり不味いご飯とまあまあ不味いご飯を出されたときに、しゃーなしで「まあまあ不味いご飯」を選ぶ人が大半ってことです。しゃーなしで選んでいるので乗り気ではなく、反応はするけれど、しぶしぶ速度となり、反応速度は遅いです。
※補足:「かなり不味いご飯」を選ぶ人もゼロではないのと同じように、オルト・パラ位がゼロってわけでもないのですが、限りなく少ないということです。
ニトロ化は、置換する官能基によって、反応速度もニトロ基が置換しやすい場所も、バラバラってことですね!
それぞれに称号がある
● 活性化置換基 / 不活性化置換基
メチル基やヒドロキシ基のように、反応速度を上げる(活性化する)置換基を「活性化置換基」といいます。
逆に、カルボキシ基のように、反応をイマイチにさせる(不活性化する)置換基を「不活性化置換基」といいます。
● オルト・パラ配位性 / メタ配位性
オルト位またはパラ位に優先的に反応が起きる場合、その置換基は「オルト・パラ配位性」といいます。
そして、メタ位に優先的に反応が起きる場合、その置換基は「メタ配位性」といいます。
オルト・パラ配位性(もしくはメタ配位性)って、置換基の性質(種類)を指す言葉だったのですね!
●電子供与基/電子求引基
メチル基やヒドロキシ基のように、 電子を与える置換基を「電子供与基」といいます。
カルボキシ基のように、電子を奪おうとする置換基を「電子求引基」といいます。
反応の速さの鍵「カルボカチオン」
カルボカチオンは、
第三級>第二級>第一級>アルキル基なし
の順に安定性が高い。
第〇級…帯電しているCに結合しているアルキル基の数に応じて決まる。(
アルキル基1つ、2つ、3つの順に、第一級、第二級、第3級)

おまけ(原子の国のお話:第二弾)
ベンゼンのニトロ化では、中間体に第三級カルボカチオンができないため、トルエンのニトロ化の反応速度には勝てない。
トルエンのニトロ化の反応を活性化させているのはメチル基の存在。ここでのメチル基→「活性化置換基」でしたね!
二人の関係を表すとこんな感じ。

ニトロベンゼン、悔しそう……。調子に乗っているトルエンをこらしめるために、強い味方を呼んできます。

フェノール兄さんの登場!ローンペアの力を借りて、反応もスイスイ~!
悔しいトルエンは……

(元)トルエン:「なんかよくわからんけど、でっかいの付けてびびらせてやる!」
あ、あ、あ、あれ~~~!?なんかボク、体が重たくなっちゃった~~
CH₃がくっついているときの方がスピード感あったのに~。

岡野さん:「それ、不活性置換基だよ。付けたら逆に遅くなるよ」
安息香酸エチルくん:「化学、ちゃんと勉強します(涙)」
=終わり=