学習時間:8.5時間
<視聴ビデオ>
TC0087_岡野の化学(87)
TC0088_岡野の化学(88)
TC0089_岡野の化学(89)
TC0090_岡野の化学(90)
その他
明細書1件(通信関連)
読書(知的財産権の本)
岡野の化学
イオン化エネルギー、電子親和力、閉殻、半閉殻。名称をひとつずつ確認。それが何を意味するかに関しては、有機化学の学習を通じてなんとか理解できているかなという項目。でも、それって本当に理解できているの?「なんとか理解」の状態から「しっかり理解」と自信を持って言えるように、ノートにアウトプット。
原子の星の物語:第3弾

「100円ちょーだい!」編
「なぁなぁ、100円ちょーだい!」
断れない相手にこんなこと言われたら、皆さんならどうしますか?あげちゃうにはあげちゃうのですが……心の中は人それぞれ。そのときお財布にいくら入っているかにもよりますよね。実は、原子の星の住民も同じなのです。
【ある日のこと】
原子の星のとある大企業。ある日、その企業で働くフッ素兄さん、ナトリウム兄さん、ネオン兄さんの3人が、会社役員の子どもを預かることに。神経すり減らしながら面倒みています。
役員の子ども:「なあなあ、100円ちょーだい!」
3人:「え!?突然なんだ!?でもお偉いさんの子だし、ご機嫌そこねたらマズいし……。100円ね。えっと、財布、財布……」

100円あげないと……。
このときの3人の心の中はこんな感じです。

①フッ素兄さん:財布の中は9900円
「うーわ!あと100円で1万円札になるってずっと思ってたのに!くそっ!こいつめっちゃストレスやわ」
イライラしています。ストレス度は8。

②ナトリウム兄さん:財布の中は1100円
「お金減っちゃうけど全然いいよ~」。むしろ1000円札だけになってスッキリした感じです。
イライラは全然ない模様。ストレス度は1。
そして、ネオン兄さんは……

③ネオン兄さん:財布の中は1万円(お札)
「はぁ!?1万円札くずさんとダメじゃん!!絶対いや!拒否!」
めっちゃキレてます。ストレス度は10。
ということで、役員の子どもに100円をあげたのは誰でしょう。もちろん、普通に考えて一番ストレス度の低いナトリウム兄さんですね。だってフッ素兄さんもネオン兄さんも、めっちゃ拒否ってましたやん。
そりゃ、もうちょっとで1万円札ってときに言われたらイラつくわ。そして既にお札になっているものをくずせと言われたら、拒否するわ。ストレスだわ。
この「100円を渡さなければならないときに感じるストレス」が、イオン化エネルギーなのです。ストレスを感るのってエネルギーいりますよね。ストレスが大きい=イオン化エネルギーが大きい。つまり、電子(100円)を手放してイオンになるのにエネルギーがたくさん必要なのです。
エネルギーがたくさん必要=手放すのに労力が必要=なかなか手放さない。つまり、陽イオンになりにくいのですね。
私たちも、お財布の中スッキリがいいですよね。ごちゃごちゃ小銭たくさんよりも、お札だけのちゃんと丸まった金額を持っている状態。
電子にとって「綺麗にお札だけ」の状態とは、最外電子殻に入っている電子が8個の状態。だからネオン兄さんはキレて拒否したのです。
周期表で見ると、一番右側の希ガスが「万札だけです。お札くずして100円渡すとか絶対しないから」のゾーンです。

各軌道に電子がきっちり入って、「綺麗に満員でーす」の状態。この状態は閉殻といい、非常に安定している状態です。
希ガス族の原子たち:「100円あげることになったら、ストレスの少ない人たちから順番にあげればいいじゃんね!」「もうすぐお札になる人ほどストレス感じるんだし、拒否権あるでしょ!」
そのストレス(イオン化エネルギー)って、本当に順番通りなのでしょうか。持っている金額がお札に近い人ほど、ストレスレベルは高いのでしょうか。
閉殻と半閉殻
【また別の日】
先日の役員の子どもがまた現れました。「なあなあ、100円ちょーだい!」
今日の相手は近くに住むリンちゃんといおうくんです。

持ち金を見ると、リンちゃん500円、いおうくん600円。綺麗にまとまる1000円札目指して頑張って貯金している二人。
いおうくんの心の声:「僕の方が1000円に近いんだから、今回あげないといけないのはリンちゃんでしょ。リンちゃんの方が、100円手放すストレス少ないんだから」

さっきのルールで考えると、あげるのはリンちゃんの方がストレス少なそうですが……
リンちゃんの方を見たいおうくんは驚きました。

リンちゃん:「私500円玉やから!お札までとは言わないけど、けっこうまとまってるからコレ!金額だけで見るなや!」
イラついてます。100円渡すの嫌そうです。少なくとも、いおうくんよりは……
お札でまとまっているのは閉殻といいましたが、この500円玉でまとまっているという状態、これが半閉殻なのです。
全テーブル満席・満員でなくとも、各テーブルに一人ずつ座って「席がうまっている」という状態であるとき、実は少し安定度が上がるのです。だから、電子を手放すのにストレス(エネルギー)が生じるのですね。
よって、今回はいおうくんが100円をあげることになりました。
イオン化エネルギーと電子親和力はイコールなのか?
上記のイオン化エネルギ―。各電子のエネルギーの大きさをグラフ化したものがこちらです。だから綺麗な線ではなく、一部逆転していたり、ギザギザになっている部分があるのですね。
そして、こちらのグラフは「電子親和力」の大きさを表したもの。
電子親和力:最外殻に電子を1つ取り込んで、1価の陰イオンになるときに生じるエネルギーの大きさ
さきほどの話で例えると、「あとちょっとで綺麗にまとまる!あとちょっとでお札になるねん!100円ほしいねん!!!」と願っている力とでもいいましょうか。
これも、周期表の右側にいくほど大きいです。グラフで表すとこんな感じです。
ここで気になることがひとつあります。イオン化エネルギーも電子親和力も「右にいくほど大きい」のであれば、ふたつのグラフは重なるはずでは?
着目すべきは希ガスです。
電子親和力のグラフでは、希ガスは最下層。なぜ?
イオン化エネルギーは「100円手放したくない!」の思いの強さに比例していましたが、電子親和力は「あとちょっとや!100円欲しいねん!!」でしたよね。
希ガスは言わば綺麗に1万円札にまるまった状態。100円を欲しがる必要ないのです。逆にもらいたくもないわ。ってな感じです。
なので、電子親和力に関しては、希ガスはゼロ(というかマイナス)。ここが大きな違いですね。