トライアルでの学び 文字数と課題数の関係

久しぶりのブログ更新です。

実は、トライアルにどっぷり浸かっておりました。

週の頭から取り組んで、昨日の夜に提出。今朝は久しぶりにかなり寝ました。提出し終えたとき、今までにない疲労感と、安堵感を感じました。

シンプルな言葉に置き換えると、「今までのトライアルで一番いっぱいいっぱいだった」です。

実は、トライアル課題を受け取ったとき(初見)、ここまで焦りが出ることは想像していませんでした。

なぜそうなったのでしょうか。

私にとって大きな気付きだったので、記録も兼ねてブログに残します。

そして、今回の気付きは、実ジョブにも当てはまることだということが想像できました。

見積もった進捗速度と実際の進捗速度に大きな乖離があった

今回のトライアルに取り組む中で、問題となったのがこちらです。

見積もった進捗速度と実際の進捗速度に大きな乖離があった

結果として、焦りにつながりました。その後もろもろ調整して納得いくものを提出できたのでよかったですが、気持ち(と時間)に余裕を持ちながら進めるということができていませんでした。

先にお伝えしたいのが、1つの課題に時間がかかることが悪いのではありません。初見で「これは手強いぞ」と感じたものは、それも踏まえてスケジュールを立てていきますし、トライアルなのでできる限りの時間をかけるべきです。

今回問題だと感じだのは、そこに、今までにはなかった大きな乖離が生じたということ、なのです。

もう少し詳しく見ていきましょう。

今回のトライアル課題

・中国語→日本語(翻訳)
・産業翻訳
・課題全体 トータル文字数:約2000文字
・翻訳部分 トータル文字数:約1000文字

中→日翻訳のトライアルとしたら、平均的な範囲に入ると思います。

まずは、初見で難易度(かかる時間)を判断します。全体を見たところ、部分的にわからないところもありますが、「たぶんこういうことを言いたいのだろうな」という部分をつかみながら、総合的に判断していきます。

「専門知識が必要な分野。難しい。けれど、前にやったA社トライアルと同じぐらいの難易度。つまり、だいたいあれぐらいの調査・学習度でカバーすればいい」

トータルの課題ボリュームもA社と同じぐらいなので、だいだいこういったスケジュールで大丈夫だな」

そう考えました。

スケジュールを立てる根拠が「難易度」と「トータル文字数」。これ、だいたいみなさんそうだと思うのです。

しかし、ここが今回の落とし穴でした。

今回のトライアルが前回までと違った点

今回のトライアルが今までのものと違った点。それは、「課題数」でした。

今まで取り組んだ中→日のトライアルといえば、課題が1~2つ、多くても3つでした。(例:課題は1つ、課題本文は長め、翻訳部分は1500文字 など)

今回の課題数は5つ。

翻訳が必要な原文文字数は、課題1つにつき200~300文字程度。そう見ると、ひとつひとつのボリュームはそれほど大きくありませんが……

それぞれが全くことなるタイプの文章でした。(技術系・法律系・マーケティング系など)

このパターン、かなりやっかいでした!(涙)

◆取り組み中に気がついた点

結論から書きます。

  • 課題数が1つであれば、文字数が多くても、積み上げ方式で取り組める
  • 課題数が多ければ、1つ終わるごとに知識が完全リセットとなる(つまり、また0からスタート)

課題1つのボリュームが大きければ、最初は大変でも(背景知識の学習・専門用語の理解)、進めていくうちに翻訳速度が上がります。また、翻訳していくうちに理解度がさらに高まるという効果があり、「あ、前半のこの部分、こっちの表現の方がいいな」という具合に、全体の質をより高めることができます。

課題数が多ければ、その課題ごとに、全く新規のジャンルを学習する必要があります。課題の文字数自体は短いのだから、1つの課題にかける「背景知識学習タイム」を相応に短くすればよい。

……のですが、

そうとはいかないことが今回のトライアルでわかりました。

文字数が2分の1だからって、背景知識習得にかかる時間も2分の1で終わる、ということにはならないのです。今回、これがよーくわかりました(汗)

翻訳対象部分が短くても、それを理解するために読み込まないといけないもの、調べないといけないもの、結局のところ文字数が多い課題とあまり変わらないと感じました。

なぜなら、結果的に訳している文字数が異なるだけであって、その文章を理解するために必要な背景知識を「一部のみ」学習することって無理なんだと思います。結局のところ全体像を学習して、体系的に理解できてこその「一部分」ですので。

ということで、今回は課題2つ目に取り組み始めたときに、「対象が変われば、結局のところ、1つ目と同じぐらいの労力で調査しないといけないな」ということに気が付き、それは残る課題にも言えるということに気が付きました。

今までのトライアルは割としっかり(ゆっくり)時間をかけて背景知識を学習してから臨んでいました。この方法は知識もしっかり習得でき、学習者としてもメリットが大きいといえます。

今回の背景知識学習では、一見必要に見える情報の中から「いらないもの」の選択を増やし、「自分はどの部分が欠落していて、どこにヒントがあるのか」を見極めながら、集中して進めていきました。

しかも、それぞれが異なるタイプの文章だったので、法律系のような「きっちり表現」から、マーケティング系の「ニーズに合った表現」まで、課題ごとに頭をリセットする必要がありました。

そして、翻訳が必要な部分として指定されている部分は、もっとも難解な部分。

課題文の中で、「背景知識が一部でも欠けていると絶対に訳せない部分」がちゃんと(?)指定されていました。さすが翻訳会社、意図してここの部分なのだなと心の中でうなりながら取り組んでいました。

上記以外にも、課題ひとつひとつに細かい「ルール」が指定されていたり、別途準備しないといけないものがあったりで、苦労が多いトライアルでした。

結果的には、全力を出し切って現時点でのベストを込めることができました。終わったあとは、もう…… ぐったりでした。

今回のトライアルは非常に勉強になりました。

しんどかったですが、こうやって積み重ねていくもの。実際に経験してみて初めて学ぶこと、本当に多いです。

実ジョブでも同じことが言えるのではないか

課題数が少ない(1つのボリュームが小さい)からといって、1つにかける準備時間も短くできるということでない。

だとすれば、1つのボリュームが大きい方が、取り組み工程全体の効率化にも繋がり、結果、費用対効果も高いということです。

これ、きっと実ジョブでもそうなのだなと思いました。

トータル文字数が同じでも、1つのものを積み上げていく方式だと、取り組むにつれて加速度も上がっていきます。

しかし、同じ文字数だとしても細切れだと、その分「事前準備」の時間の割合が高まるということ。

そしてこれが収入面に直結するということですね。

講座ビデオで管理人さんが「ボリュームが大きいものを長期で取り組む仕事が一番よい」とおっしゃっていたことを思い出しました。

今回、トライアルではそれを実感することができました。

逆に言うと、参入したばかりの人間には逆の仕事がまわってきやすいということですね。

そう考えると、自分の得意分野(コアとなる部分)を持ち、それをしっかりとアピールして仕事につなげていける翻訳者になることが、長期的に見てもどれだけ大事かがわかりました。