アフターコロナ:中国の食品業界が向かう先とは?【中国食品報新聞記事を翻訳してわかりやすくまとめたのでシェアします】

4月16日、中国の食品業界情報サイトで興味深い記事が発信されていました。

“后疫情时代”食业走向:转型升级提质/中国食品报新闻

公式サイトではトップ記事の取り扱い

「アフターコロナの時代、食品業界の未来はどこへ向かうのか」をテーマに、中国農業大学食品化学および栄養工程学院の羅雲波教授が食品業界にもたらした影響や今後予想される動きについて見解を述べました。その内容が詳しく書かれています。

この記事を読むと、中国国内の動向として下記内容を知ることができます。

  • 新型コロナウイルス蔓延期間のおける食品消費の特徴
  • 新型コロナウイルスが製造企業にもたらした影響
  • 食品業界にとってのチャンスと発展余地

食品業界に携わる方にはぜひ読んでいただきたい内容です。中国語の内容を日本語に翻訳し、ポイントを整理してシェアします。

新しい消費習慣が食品業界の方向を変える

羅教授は、新型コロナウイルスの発生以降、食品業界ではいくつかの変化がはっきり表れたといいます。まずは購買点数が大幅に上がった商品群をとその背景にある消費者心理をみていきましょう。

  • インスタント、冷凍食品類(保管期限を考慮した商品)

コロナウイルス蔓延期は食品に関して一定量の買いだめが必要であったため、長期保管が可能なインスタント食品や冷凍食品が「巣ごもり必需品」として選ばれる傾向に。

1月14日から2月20日のたった1カ月間で需要が爆発的に伸び、天猫が開示したデータによると昨年同期比でインスタントラーメンは57%、餃子・ワンタン類は78%、インスタント火鍋は144%も購入数が増加しました。

そして、私が着目した点は、肉製品も264%と大きな伸びを記録した点です。

先日、日本国内の食品関連ニュースで「コロナ以降、肉が売れている」という内容がありました。こちらのニュースはスーパーでの購入点数についてですが、こういった緊急的な状況下では肉が食べたくなる人が増加する傾向にあるようです。非常に興味深いですね。

「お肉が売れる」コロナでスーパーの売場がパニック状態 調査で見えた変化

2020年4月7日Yahoo JAPAN ニュース
  • 健康食品

免疫力をあげるために購入が伸びた。

  • 農産品(野菜、果物、肉、卵、牛乳)

加工食品と比較して、農産品は食事の質向上と栄養補給に効果があるという意識から。

その他、スナック菓子は販売が伸び、白酒や調味料は減少しました。消費者が食品を購入する際に以前よりも「考えて買う」という傾向が出てきています。

これらの傾向から、消費者の動きに大きな変化があることが感じられます。まず、免疫力こそが自分を守る唯一の手段という意識が芽生えたことです。若年層を含め、健康食品や機能性食品へ関心を持つ人が増えてきています

また、消費観念にも変化が表れてきています。コロナウイルスが発生したあと、禁煙したり、辛いものや体を温めほてりを生じる食材(ニンニク、胡椒など)を控えたりとより健康的な食事に傾いています。

さらには、食品の品質に対する要求が高まり、価格重視から質重視への転換傾向が見受けられます。

新型コロナウイルスが企業の「生存力」を試す

コロナウイルスが発生する前、食品企業に関しては規模・生産能力・販売量・資本が着目されていました。しかし、コロナウイルスが発生した後は、多くの企業にとって「生存力」こそが発展の源だという意識が広がりました。

羅教授は、米国の雑誌「食品安全」が「コロナウイルスが爆発的に広がったことで加工食品企業がどのような影響を受けるか」を調査したことを紹介し、その結果に触れています。

調査に参加した食品企業のうち、11%が大きな影響はないと答え、ある程度の影響があると答えたのは37%、非常に大きな影響があると答えた企業は全体の52%にものぼりました。

コロナウイルスが生産に影響を及ぼしている主な原因として、下記があげられます。

  • コロナウイルス蔓延とそれによる隔離措置で人の確保ができない
  • 会議や展示会、旅行などの人が動く活動が止まっている
  • サプライチェーンの川上、川下が打撃を受けている
  • 物流の問題

中国国内の専門家は、中国が「第一波」、欧州が「第二波」だとすると、南アメリカ、東南アジア、アフリカなどのエリアで「第三波」が起こる可能性が高く、ワクチンが完成するまでの間、全世界に広がる恐れがあると指摘。

世界中で対コロナ措置を講じる中、中国が各国と協業して進めていることをどのようにして遂行するかということを食品業界全体で考える必要があると述べています。

羅教授は、アフターコロナの時代、食品企業は3つの課題に直面するといいます。

  • 物流企業は比較的、容易に再開が可能だが、製造企業は生産再開のハードルが高い

製造企業が関わるサプライチェーンは非常に長く、自社で解決できないことが多いため。また、労働密集型が多く、マンパワーに依存する割合が高い点も課題になるという見立て。

  • 生産能力と資源配分の調整が難しい

どこまでを在庫にして、どこで拡大するかの見極めが必要との見解から。

  • 強者がより強くなり、弱者がより弱くなることで業界再編が起こる

この傾向は日本も同じと言えますね。

モデルチェンジ、グレードアップ、品質向上が加速する

今回のコロナ危機は、食品業界にとって「ピンチ」ではなく「チャンス」となるという見方もあります。

羅教授いわく、「食事方法や選ぶものは人それぞれの違いがあるものの食品に対する需要は変わることはない」。アフターコロナの消費習慣、需要、そして市場を改めて分析すべきだと述べています。

中国政府としても種々の経済活性化対策を打ち出し、食品業界にとって有益なものもあるため、供給側(製造企業)の改革として「転換」を選択することで自社のモデルチェンジとグレードアップにつなげることができるとし、「健康中国」(中国が掲げる国家戦略。国民の健康維持管理に関わる事業発展計画、医薬品・食品安全管理、医療設備投資などの取り組みを強化する)が食品業界発展の後押しになると付け加えました。

中国の食品業界の中でも「農産品市場」に着目すると、まさに変革のときを迎えています。

販売シーンが農村にある集合市場、街中にある自由市場からスーパーへと変化していますし、知名度が高く品質もよい農産品、地方特産品はより多くの消費者から注目をあびるようになりました。

新技術も積極的に取り入れられ、農業のスマート化やオンライン化が市場で勝ち抜く武器となりつつあります。スマート生産、無人配送、インターネット販売など、コロナウイルスは仕事のあり方、生活のあり方、経営管理のあり方すべてに影響を及ぼし、農産品業界の発展において新たなチャンスと可能性を運んできました。

人工知能の活用が食品業界でも広がり、人が携わる項目は「少数精鋭」に転換しつつあります。求められる人のレベルも高くなり、業界全体の人材レベルが上がってくることが予想されます。

特に、免疫力を高める効果のある食品分野は今後さらなる拡大が見込まれます。

長期的にみると、アフターコロナの時代は食品管理、産業リンゲージやサプライチェーンにおける食の安全も、今よりもさらに重視される動きとなるでしょう。

食品企業が積極的にモデルチェンジを進め、食に対する社会的需要を満たすこと。アフターコロナの食品業界はこの傾向が一気に強まると予想されます。

日用消耗品におけるV字回復とU字回復

1月後半の新型コロナウイルス蔓延以降、中国国内の日用消耗品市場は多大な影響を受けました。現在は全国の大部分において各企業が営業を再開しています。

98品目の日用消耗品の動向を分析した結果、「増加」「影響小」「V字回復」「U字回復」の4つに分けることができました。

「増加」した品目:コロナウイルスが新しい需要を喚起

  • ハンドソープ、消毒液、ウェットティッシュなどの消毒機能を有する商品
  • チキンだしの素、味の素、スパイスなど家庭での調理需要を満たす商品
  • インスタントラーメン、スープなどの即食商品

これらの商品はコロナウイルスが落ち着いたあとも一定の増加水準を維持すると予想されています。デリバリーや外食と比較して家庭での調理は安全性が高いイメージが定着しました。

「影響が小さい」品目:生活必需品への影響は限定的

  • ペットフード、トイレットペーパー、乳児用粉ミルク、飲料水、女性用衛生品

これらは生活必需品であり、コロナウイルスの影響も限定的でした。購入ルートがオンラインである割合がもともと高かった分野でもあります。日用消耗品全商品における販売ルート構成比はオンラインが19%ですが、上記商品群は25%を超える構成比でした。

コロナウイルスの期間に取り込んだ新規の購入者をどれだけの割合で維持できるかが鍵となります。消費者の次回購入時期を予測し、それに合わせて販促を打つことがオンライン販売企業の有効策といえます。

「V字回復」品目:消費減少も即座に回復

  • 食用油、牛乳、ヨーグルト、餅、栄養補助食品、洗濯洗剤

1月最終週と2月第1週の2週間、これらの商品の消費は激減しましたが、6週後には通常水準に回復しています。

消費が激減した理由は、コロナウイルス発生時にメーカー供給量が落ちた、消費者が(コロナ発生時に)これらの商品を生活必需品と位置づけなかったことが考えられます。時間とともに上記問題が解消され、消費回復につながれたと予想されます。

これらの商品が抱える課題は、コロナウイルスの影響による販売減少分を今年中にカバーすることが難しい点です。購入意欲アップにつながる新たなシーンをメーカー側が創り出す必要があります。

「U字回復」品目:消費減少後、回復にいたらず

  • 化粧品、シャンプー、酒類、チョコレート、飴

これらの商品はコロナウイルスの影響がピークだった時期から6週間経過しても、いまだ回復にはいたっていません。日常的に人と会う機会が減り、交流の場がなくなってしまったことが大きく影響しています。

コロナウイルスで行動が制限されている時期も長くなり、家族での集まりや社交活動に関する人びとの欲求が高まっている状況です。アフターコロナの時代こそ、各メーカーが大いに腕前を発揮するときなのです。

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以上、新型コロナウイルスが中国の食品業界にもたらした影響について紐解き、今後の食品業界が向かう先として、専門家の意見をシェアさせていただきました。

恐らく、日本も同じような傾向になると感じています。電子決済やデリバリー、食材のオンライン購入は中国の方がはるかに先を行っているので、これらの分野に関してまだまだ過渡期だった日本だと、消費行動のギャップがさらに大きくなることが予想されます。

今後も中国の現地ニュースから食品関連の最新情報をシェアしていきます。